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歴史に埋もれた兵器を発掘 更新は1ヶ月に一度を予定してますが扱うものがものなので不定期になることアリ ※ネタがある場合はメールにて教えてくれると幸いです。ostfront1915@gmail.comまでご連絡下さい。

General Liu rifle

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劉半自動歩槍は1914年に中華民国の劉慶恩が設計し漢陽造兵廠とプラット&ホイットニーが1918年までに試作した恐らく中華民国初でかつアジア初のオートマチックライフルである。
特徴は銃口部のシリンダーを反時計回りに回転させるとボルトアクションライフルになり時計回りに回転させるとオートマチックライフルに変わるという独自の機構を持っていたことである。
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劉慶恩が自国で設計したが、当時の中華民国の銃器製造レベルでは製造が不可能であったためハートフォードにあったプラット&ホイットニー社へ製造を依頼し約12挺の試作品を製造した。その後本国で十分な試験を行った後上海へ輸送された。
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しかしここで不幸が起こる、上海へ向けての輸送中にこの開発プロジェクトに携わっていた劉慶恩が脳卒中により死亡してしまったのである。
劉慶恩死後に上海に届いたライフルは引き続き開発プロジェクトが進められたが当人無しに完遂することが不可能と判断したため終了となってしまった。
その後武器庫へ送られ様々な試作銃を作るために再利用されたという。

以下スペックを綴る

General Liu rifle
(劉半自動歩槍)

生産国:中華民国

製造年:1914~1918年

作動方式:ガス圧利用ロータリーボルト方式

冷却機構:空冷式

使用弾薬:7.9x57mm S パトローネ(7.92×57mmマウザー)

発射レート:セミオートオンリー

全長:1225mm

銃身長:647mm

重量:4.7kg(乾燥重量)

配備される予定だった国:中華民国陸軍

以下雑記

歩兵用小銃の自動化計画は中華民国でも行われていたようです、文献を見る感じメキシコのモンドラゴンと同じで他社への委託製造で最初の試作分を確保していたようです。
自動小銃としてはおそらくアジア初のものだったでしょう、もし劉氏が死去せず開発が続けられ本格的に採用していたら日中戦争で投入されていたのでしょうか。
となると劉半自動歩槍を鹵獲した日本軍がこれを参考に独自の自動小銃を開発し・・・という流れもできていたのかもしれません。
日本にも四式/五式自動小銃なるものが存在しますがそれと全く違ったものが出来上がっていたら・・・という想像をしてみるのも楽しいです。

Winchester Model 1903

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ウィンチェスターモデル1903はトーマス・ジョンソンが設計、開発しウィンチェスターリピーティングアームズが生産した自動小銃である。
M1903は1903年に生産が開始され1919年と1930年代にマイナーチェンジを施されていき最終的に1958年まで生産、販売されていた。

使用弾薬は.22Winchester automaticで装弾数は10発である。他に1930年代に生産されたモデル63では.22LRが使用された。

極初期のオートマチックライフルの中では地味な印象は拭えないがマーケティングの結果から見て十分に成功した逸品である。

以下スペックを綴る

Winchester Model 1903
(ウィンチェスターモデル1903)

生産国:アメリカ合衆国

製造年:1903~1919年(モデル1903)
1919~1933年(モデル03)
1933~1958年(モデル63)

作動方式:反動利用方式

冷却機構:空冷式

使用弾薬:.22Winchester automatic又は.22LR

発射レート:セミオートオンリー

全長:940mm

銃身長:540mm

重量:2.7又は3.2kg

配備された国:軍への配備記録は無し

以下雑記

現在ウィンチェスターといえばショットガン、とりわけM1897トレンチガンが有名だったりライフルといってもレバーアクションが有名ですがオートマチックライフルも作っていました、その一つがモデル1903です。
他にも設計を流用したM1907あり、こちらはWW1中にフランス軍やその他協商国軍へ向け輸出され配備されました。
M1907は.351Win SL弾という.45の中間弾を使用し、フランスへ輸出され改良されたモデルのM1917はセレクティブファイアへ変更されるなど、中間弾の使用も相まって極初期のアサルトライフルの一つに数えられています。

Farquhar Hill rifle

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ファルカーヒルライフルは大英帝国が同国航空隊(当時はRoyal Air ForceではなくRoyal Air Corpsであった)向けにモードレイ・ファルカーとアーサー・ヒルによって設計、開発されたロングリコイル機構を備えた自動小銃である。
ファルカーヒルライフルは1908年5月に最初の試作品のテストが開始されデザインの見直しや機構の改良が施され1918年に現在の形に至った。
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使用弾薬は英国では一般的な.303British弾でマガジン容量は20発であった。
他に65発装填のドラムマガジンが存在するようである。
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しかしこのファルカーヒルライフルは活躍できなかった、理由として発注時期がある。
このライフルは1918年に採用され発注された、活躍するにはあまりにも遅すぎたのだ。
発注された後戦争が終結し大量の注文がキャンセルされたのである。
1918年にライフル.303inchパターン1918として対ドイツ帝国に向け配備される予定だったライフルは戦争終結に伴い調達がキャンセルされ1919年に生産終了となったのである。
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その後1920年代から30年代にかけて軽機関銃とし再設計しビアードモア=ファルカー軽機関銃として再度テストされた。
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ビアードモアWBXXVIの後方機銃として使われたりしたが、最終的に双方とも採用されるに至らなかった。

以下スペックを綴る

Farquhar Hill rifle
(ファルカーヒルライフル)

生産国:大英帝国

製造年:1908~1919年(ファルカーヒルライフル)
1920~1930年(ビアードモア=ファルカー軽機関銃)

作動方式:ロングリコイル又はガス圧利用方式

冷却機構:空冷式

使用弾薬:.303British

発射レート:700(ビアードモア=ファルカー軽機関銃)

全長:不明

銃身長:不明

重量:不明

配備される予定だった国:大英帝国陸軍 大英帝国航空隊

以下雑記

何故航空隊にオートマチックライフル?と思われるかもしれませんが航空機に機銃が搭載されるまで敵機に対して様々な攻撃方法が模索され、その一つがオートマチックライフルでの攻撃だったわけです。
自身が持ってる自衛用のリボルバーでは射程が足りず、それまでのボルトアクションは狭い機内では扱いにくかったのです。
一見纏まって見えるファルカーヒルですが、ボルトロックの解除がトリガーを引くことだったりマガジンのスプリングロックを固定して装弾し装着したら送り込むためにロックを解除しなきゃいかなくて二度手間だったりと、英国の銃器らしい構造を持っています。

standschütze hellriegel submachine gun

通称ヘルリーゲル機関銃、水冷式でオーストリアハンガリー産である。

オーストリアハンガリー帝国のおそらく銃器設計者であろうヘルリーゲル氏(銃名称より推定)により設計、制作されたものだと思われる。

そして名称のstandschütze(スタンドシュルツ)から推測されるようにオーストリアハンガリーの予備軍に採用されたのであろう、記録によれば少数がWW1中に配備、運用されたとのことだが詳しいことはわかっていない。

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ヘルリーゲル機関銃はたぶん20発入るボックスマガジンとたぶん160発入るドラムマガジンが用意され、ドラムマガジンは上記画像で弾倉から飛び出ている可動式のチューブ状の部分から給弾、装填される仕組みでになっており、ベルト給弾とは違う特徴を持っていたようである。

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しかし、ヘルリーゲルはそれ以上のことが判明しておらず運用された記録があってもどのように運用されたのかも定かではない、おそらくドラムマガジン装着時は写真のように伏射をし分隊支援火器のように扱われた、及び扱われる予定だったのであろう。

ちなみに写真は3枚しかない、上記で本銃の視覚的情報はすべて網羅したことになる、銃右側の写真だけで左側の形状は不明である。

以下スペックを綴る。

 

Standschütze Hellriegel Submachine Gun

(スタンドシュルツ=ヘルリーゲル機関銃)

生産国:オーストリアハンガリー帝国

製造年:1915年?(試作がいつからなのかが不明なので正確な製造年は不明)

作動方式:形状から推測するにおそらく反動利用方式

冷却機構:水冷式

使用弾薬:9x23mmシュタイヤー弾及び9x19mmパラベラム弾

発射レート:不明

全長:不明

銃身長:不明

重量:不明

配備された国:オーストリアハンガリー帝国

 

以下雑記

適当すぎだと思われるけどこれで調べたこと全部です、調べても調べてもこれ以上の事が出てこない、なんともそそられる銃です。

BF1に登場しますがBF1の初期仕様の60発ドラムマガジン仕様と防衛仕様の120発ドラムマガジンと光学照準器、バイポッドの仕様は存在しないと思われます。

記録によれば配備されてたっぽいので実銃が一部でも発掘されれば解明される希望があるのですが、如何せんオーストリアハンガリー帝国自体もはや存在しないので難しいと思います。

推測の域でしかわかっていませんが、個人的には今後解明されることを切に願う銃器の一つではあります。

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